200系ハイエースのパワーステアリングは1型~現行まですべて油圧が使われています。
近年の乗用車のパワーステアリングは電動モーターで制御されており、仕組みが異なります。
今回は油圧ポンプから油が漏れてきたため交換を行います!
Contents
パワーステアリングがいまだに油圧?理由は?
ハイエースのパワーステアリングは油圧が使われているのはご存じでしょうか?
近年の乗用車は電動モーターでのパワーステアリングが主流となっており、油圧は使用されなくなってきております。
ではなぜハイエースはマイナーチェンジをしているにも関わらずいまだに油圧が使用されているのでしょうか?
油圧のメリット
油圧パワステのメリットは大きく2つ。
- 電動より強力な力を得られる。
- 昔から油圧が使用されているため、構造がシンプル・かつ安価である
ハイエースは荷物を多く積むことが想定されている商用車です。
荷物を積むと必然的に車両重量が重くなり、路面摩擦が大きくなります。
そうなった場合、電動より力のある油圧のほうがメリットが生きることになります。
そして電動モーターが使用される以前より油圧が使われていたこともあり、プラットホームが確立されておりシンプルな作り、コストダウンにもつながっているからです。
油圧のデメリット
では電動より強力で安価であるのにも関わらず、乗用車に電動モーターが使われるようになったのはなぜでしょう。
油圧は各部劣化によって油漏れが発生してしまうことが挙げられます。
油圧は部品が多く劣化し始めると油漏れが出てきます。
さらに部品が多い為スペースを必要としたり、ポンプや油を使用していることから異音の発生源となったりするため乗用車には採用されなくなってきました。
近年の自動運転化
最近の乗用車は自動運転化が進歩しつつあります。
ハイエースもたびたびマイナーチェンジがされますが自動運転が搭載されないのは油圧パワーステアリングを実装しているからだと思われます。
電動パワーステアリングは電気制御でモーターを回していることから自動ステアリング制御が可能となっています。
しかし油圧パワーステアリングはエンジンの回転でポンプを回していることからステアリング自動化はしにくくなってます。
よって、ハイエースはしばらくの間は自動運転が搭載されることはないと思われます。
パワーステアリングポンプの交換費用
パワステポンプの故障に伴いディーラーにて交換の見積もりをしました。
部品が高いので仕方ないですが工賃1万円は高いでしょうか?安いでしょうか?
作業したことのない素人の私には高いと思ってしまった…。
なので今回もDIYで作業することにしましたが、実際に作業してみて工賃1万円は妥当かむしろ安い?くらいの作業でした。
作業環境や工具の違いはあるかもしれませんが実際に作業して工賃の値段に納得できるのはすごい気持ちの良いです!
普段はDIYで作業してる方でも、少しでもエンジン系などの作業に不安がある方はディーラー等に任せても良いと思います!
※オルタネーター等はパワステポンプより下にあるので、次からベルト周りの作業はディーラーに任せることにします。
パワステポンプの取り外し
それではパワステポンプを交換していきます。
まずはタイミングベルトを外していきます。
ベルトが外れたらポンプ本体を外していきます。
ポンプを外すには油圧ホース二本とボルト2本を外します。
最初は油圧ホースを外します。
油圧は赤丸2箇所です。
上側はボルト、下側はホースバンドで留まっています。
青丸の配線カバー・インテークパイプはのちに邪魔になるの外せるなら外したほうが作業しやすいです。
まずは下側。ホースバンドはペンチやプライヤーで挟みながらずらします。
この時パワステフルードが漏れてくる場合がありますのでウェス等を挟んでおくと良いでしょう。
外したホースはフルードタンク直結なので漏れてこないよう、少し高い位置(タンクを下げても可)に仮置きしておきましょう。
次に上側、ボルトです。
ボルトサイズは17㎜になります。
取り外した部品のボルトは再利用するのでパーツクリーナー等で洗浄、パッキンは再利用不可なので必ず新品を用意しましょう。
次にポンプ本体の取り外しになります。
ポンプはエンジンにボルト2本で固定されてます。
場所が非常にわかりずらいのでまずは外した後の画像から。
赤丸2箇所のボルトを外します。
左上側がボルト配管の後ろ側。
下側はさらに下にあります。
こちらはソケットがないと外せないので準備してください。
上記2本が外れたらポンプ本体を摘出します。
この時、最初に張った画像の青丸部の配線カバーとインテークパイプが邪魔になるため、外すと比較的作業しやすいです。
さらに本体はかなりぴったりとはまっており、引っ張るだけではなかなか抜けないのでプラスチックハンマーがあると便利です。
今回外したポンプはグランド部分から油が漏れてました。
こちらが新品になります。お値段60720円。
今回は新品を使用しますが、パワステポンプにはリビルト品がある場合があります。
※リビルト品とは、廃車等から部品を取り出しオーバーホール・点検を行ってあるものです。
2022年現在、1GDディーゼル用(GDH~)パワステポンプのリビルト品の設定は存在します。
が、1GDエンジンの車両自体が比較的まだ新しい為か、リビルト品の在庫がなかなか入りずらいみたいです。
パワステポンプの組み込み
取り外しが終わったら新しいポンプを取り付けていきます。
取付に関しては、取り外しと逆の手順で行います。
ますばポンプ本体をエンジンに取り付けていきます。
取り外しに外したボルトは2本のみなのでこちらを付けていきます。
締め付けトルクは2本とも21N.mです。
本体がついたら各ホースを取り付けていきます。
下側はホースバンドで止まってるだけなのでずらして元の位置に戻します。
上のボルト側はパッキンを新品へ変えます。
新しいパッキンを元々ついてた位置にはめたらボルトを締め込んでいきます。
締め付けトルクは50N.mです。
あとはベルトをもとの位置に戻して完了になります。
パワステフルードのエア抜きと補充
ポンプを取り外したことでパワステフルードのライン上にエアーが入ることになるのでエアー抜きと補充を行います。
- パワステフルードをリザーブタンクのアッパレベルから上へ10〜15mmまで補充する
- エンジンを始動しステアリングを左右一杯まで回し、オイル変化がなくなるまで行う。※パワステフルードが無くならないように補充しながら行う。
- ステアリングを一杯まで切った状態で5〜6秒ほど保持し、2〜3秒間隔で3〜4回行う。
- リザーブタンクに細かい気泡の有無や異音、振動、油漏れがないか確認する。
- リザーブタンクにフルードを規定量入れて完了。
交換後、1週間また500kmほどしたら再度漏れ、リザーブタンク油量を確認して異常なければ作業完了となります。
作業してみて…
パワステポンプの交換完了後思ったのは、本当に大変だった…
ハイエースはキャブオーバーの車両の為エンジンへのアクセスは車内からのみ。
なので作業は車内で行うのでとにかく汚れる。
養生すればいいとは思いますが…まあ面倒ですよね笑
さらにエンジンルームもとにかく狭い為工具が入れづらい。落下した時はとにかく絶望しました。
ここまでしんどいと思った作業は久々だったので実感トラウマ気味です笑
次回が無いことを祈りますが、起こってしまったらディーラーに丸投げします!